剥離紙の用途や剥離フィルムとの違い、選定方法を教えてください
剥離紙の用途や剥離フィルムとの違い、選定方法を教えてください
剥離紙とは?
剥離紙とは、接着剤や粘着性のある材料や製品の表面に貼られている保護用の紙のことを指します。剥離紙の用途として、接着剤、粘着テープ、粘着シート、ラベル、シールなどの製品の裏面やセパレータなどが挙げられます。
剥離紙の紙基材に離型処理する際は、環境条件や保護効果、付与する機能性などを加味して離型処理する必要があります。
また、剥離紙には紙にポリエチレンをラミネートし、その上に剥離剤をコーティングした三層構造のものと、直接紙に剥離剤を塗工した二層構造のものがあります。
単層構造の剥離紙は、プラスチックを使用しないため、減プラや脱プラなどの環境配慮の製品として、注目されています。
剥離紙と剥離フィルムの違い
剥離紙と剥離フィルムの違いは素材による耐熱性や耐久性の違いです。剥離フィルムは、樹脂特性故に耐熱温度は低いですが、剥離紙の場合は二層構造の場合、高温度帯でも耐えることが可能です。
また剥離紙は、剥離剤が紙基材への浸透を防止するために、紙基材との間に目止め層(バリア)を挟んだ三層構造にすることが多いですが、剥離フィルムはフィルム基材に剥離剤を塗布した二層構造が一般的です。
上記の違いは、基材の違いにあります。紙基材(剥離紙)とプラスチックフィルム基材(剥離フィルム)のそれぞれの特性により機能性に違いが生まれます。
剥離紙や剥離フィルムは、目的によって多くの種類が存在するため、用途や機能などに応じて最適な基材を選定する必要があります。
紙基材の種類
①クラフト紙
クラフト紙は、クラフト法により製造され、化学パルプからつくられた紙を指します。長い繊維が絡み合っており、破れにくく強度が高ため、包装紙に最適です。茶色い色相は製造法に由来しており、片面に光沢を付けたものは、ハトロン紙とも言われます。
②グラシン紙
剥離紙は、接着剤や粘着剤が塗布されている一方で、剥がすときに容易に剥離できる特性を持っています。また、グラシン紙の一番の特徴は密度が高く、平滑性・透明性も高いことから、剝離紙の基材として様々な製品・分野で採用されています。
主に、両面テープ用剝離紙やラベル用の剥離紙をはじめ、肉まんの敷紙やクッキングペーパー、弁当向けのギャザリングカップなどに使用されています。
③純白紙
一般的に純白紙は、木材パルプや竹パルプを原料としており、高い品質と耐久性を備えています。また、クッション性の高さや通気性にも優れています。さらに、滑らかで均一な表面を持つため、剥離剤のコーティングに適した特性を多く兼ね備えております。
純白紙は、グラシン紙よりも低コストで汎用性が高いため、大量生産に適しており、幅広い分野で使用されています。
剥離剤の種類
シリコーン系
シリコーン系は表面エネルギーの低い-CH3基が表面に出やすい構造となっており、高い剥離性能を有します。-CH3基以外の官能基を取り入れることで、様々な特徴を発揮するため、機能性追加などのカスタマイズのしやすさが特徴です。
非シリコーン系
シリコーンと比較して剥離が重いですが、非シリコーンのため粘着層へのシリコーン移行が無く、電子用途やテープなどに使用されます。基は、長鎖アルキルアクリレート、長鎖アルキル変性高分子などがあります。
剥離紙の基本構成について
一般的な剥離紙は、基材となる紙と糊に接する剥離層から構成されています。また、ポリラミ紙の場合などは基材と剥離層の間に目止め層を作ることで剥離剤が基材に浸透することを防止します。
当社は剥離紙を製作する際、熱加工方式を採用しています。熱加工方式とは、特定の材料が熱を加えられることで硬化・固化する特性を利用して行う製造方法です。
用途に合わせた剥離紙・剥離フィルムの選定方法とは?
基材に対して剥離機能を付与する場合、使用環境や用途、コストなどに応じて剥離紙か剥離フィルムを選定する必要があります。
① 使用用途
剥離紙と剥離フィルムの選定方法における一番のポイントは、使用目的や要件です。製品の包装や保護フィルムとして使用する場合には、剥離フィルムが適しています。一方、印刷やラベルの製造に使用する場合には、剥離紙が適している場合があります。
このように、使用目的や要件に合わせて、最適な基材を選定する必要があります。
② 剥離力の要件
使用する剥離機能に要求される剥離力に応じて判断しなければなりません。剥離紙や剥離フィルムの剥離力は、用途先と基材との相性などにより変化します。
また、剥離力の強さや弱さによって、材料の剥離性能が異なるため、要件に応じた適切な剥離力を持つ材料を選びます。
③ 基材特性
剥離紙や剥離フィルムの基材特性を考慮する必要があります。基材の素材が紙やプラスチックフィルムによって剥離性能や耐久性が異なります。
上記にも図で記載しておりますが、剥離フィルムは耐久性や防水性に優れ、剥離紙は耐熱性に優れます。そのため、基材の特性と使用環境を考慮して、最適な材料を選びます。
④ コスト
剥離紙と剥離フィルムのコストも比較する必要があります。材料の価格に加えて、加工や取り扱いの容易さ、廃棄物処理のコストなどを加味して行う必要があります。
同等の性能を持つ剥離紙と剥離フィルムの中から、要件や使用環境などを踏まえた、コスト効率の良い基材を選定する必要があります。
剥離紙による脱プラ・減プラ効果
剥離紙は、紙基材に目止め加工としてポリエチレンをラミネートし、その上から剥離剤をコーティングするのが一般的ですが、当社独自の加工技術によって紙基材に直接コーティング剤を塗工することが可能です。
そのように、紙基材にコーティング剤が直接塗工された剥離紙は、プラスチックを使用しないため、製品や工程材の脱プラ・減プラの取り組みに活用できます。
また、直接塗工により、目止め加工の工程が削減されることで、歩留まりの改善、納期の改善にもつながります。
剥離紙への機能性付与は大三紙業まで!
工業用フィルム選定なびを運営する「大三紙業株式会社」は、長年培ったシリコーン塗工技術を生かし、剥離紙・剥離フィルムの着色、部分剥離、剥離力のコントロールなど、お客様のご希望の仕様、用途に応じた開発、生産を行っております。
これまでにも、多くのお客様から頂いたお悩み・お困りごとに対して、当社のフィルム加工技術を用いて、お応えしてきた実績とノウハウがございます。
剝離紙をはじめフィルムに関する課題をお持ちの方はぜひお気軽に当社にご相談ください。